STAFF COLUMN 〈Timeless Vol.1〉
ランド オブ トゥモローのスタッフが
独自の視点で
綴る連載企画〈STAFF COLUMN〉。
今回のテーマは"タイムレス"。
いつの時代も自分のスタイルに寄り添う
定番のアイテムをご紹介します。
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STAFF : ONISHI
お洋服の話の前に、
タイムレスと聞いて思い出すのがこの本、
アーツアンドサイエンスの
オーナー兼クリエイティブディレクターの
ソニア・パークさんが 2000 年代初めに出された本、
『ソニアのショッピングマニアル』。
90 年代はフリーのスタイリストとしても
CMや広告、雑誌等で幅広く活躍され、
2003年には自分の本当に欲しいモノだけを集めたお店、
アーツアンドサイエンスをオープン。
そのお店をオープンさせてまもなく、
こちらの本が出版されました。
ソニアパークさんの審美眼で、
今まで出会って実際に触れて
惚れ込んだアイテムを紹介する本で、
ひとつの物にひとつの写真と文章、
という形で構成されています。
服や靴、バッグ、ジュエリーなどのファッションのほか、
家具、文具、食品にまで幅広いジャンルの
"色褪せない本物"を紹介されています。
ため息が出るほどの憧れなモノや、
速攻マネして買いに行ったモノなど、
この本を開けば憧れやワクワク感がありました。
そして今もふと時々、
ページを開いてはあの頃に思いを馳せたり、
今の感覚で読んでも新鮮味があるのです。
圧倒的な経験値と説得力のあるこの本は、
ある意味、困った時に開く辞書のような、
私のバイブル本となりました。
アートディレクターの平林奈緒美さんの
カバーデザインの重厚感も
その雰囲気を醸し出しています。
Ⅰ〜Ⅲの3巻完結ですが、
Ⅰの1〜101は実家に置いてきてしまったようです...。
この本のおかげで、自分が納得するものを
しっかり手にしていきたいという考え方になり、
自分のなかで色褪せないものを身につけていきたい、
増やしていきたいというスタイルが
私の中に確立されたと思います。
さて、お洋服の話ですが、
今回挙げたいのが、
こちらの〈Maison Margiela(メゾン マルジェラ〉 )の
ビッグシルエットのシャツ。
ボタンダウンの襟はコンパクトなのに、
アームの大きさや袖の長さが異常に長く、
着丈も膝くらいまで、ワンピースほどの長さ。
7、8 年ほど前に購入したかと…。
これまでもビッグシルエットは多くありましたが、
ここまで極端に大きくて長いものには出会っておらず、
シャツ好きの私としては、
シャツという概念を覆すような、
今思えばスタンダードという観点ではなく、
どちらかというと個性が
光るシャツとして購入したんです。
でもそれが、本当に本当によく着るものになって…。
一枚でボタンもピチッと留めて
スラックスを合わせたり、
上からベストやフリンジのキャミを重ねてみたり、
オーバージャケットの下に入れても
裾から見えてくれて、レイヤード感をしっかり出せたり、
ボタンダウンだけどルーズにネクタイを締めてみたり、
太いレザーベルトをきゅっと巻いてみたり、
普通に T シャツの上からサラッと羽織っても、
なんか雰囲気あるし、
とにかくいろんなスタイルが
できる万能なところが優秀で。
いつでも身体に馴染み、
シャツ特有のシャキッと感も出してくれるし、
気づいたら週に 1、2 回は登場しているのではと。
洗濯も洗濯機でガンガン回しているので
(一応、裏返してネットには入れていますよ)、
とうとう袖口がわずかに擦り切れ始めましたが…。
むしろそれが、経年変化の良さとしても感じています。
というわけで、いつのまにか
自分のスタンダードになっていて、
とにかく欠かせない
私のタイムレス品の一つとなりました。
そういえば、唯一着方としてトライしていないのが、
1 枚でサラッとワンピースみたいに着ること。
たとえば、サイクリングショーツとか
ショートパンツに合わせたスタイルをしてみたい。
まぁちょっと年齢的に…。
膝にたまるお肉をどうにかしないとできないかな。
そして、あなたも気づいたら馴染んでいました、
みたいな存在になりそうなのが、
こちらの〈MANOLO BLAHNIK(マノロ・ブラニク) 〉のローファー。
(以下マノロとします)
〈MANOLO BLAHNIK〉 といえば、
『セックス アンド ザ シティ』や、
映画『マリー・アントワネット』で象徴的に登場し、
高いピンヒールで華奢で、
リボンやスワロフスキーが付いた
煌びやかなもので闊歩する——
少し前までは、そんなイメージ
だったのではないでしょうか。
というか、それで一気に有名になったことも事実。
でも、そのほかにもマノロの名作はたくさんあって、
シンプルなパンプスの
リストニーやBB、メイセール、ハンギシフラットなど。
シンプルでヒールがなくても、
女性の足のラインを綺麗に見せてくれる魔法使いです。
そのひとつ、こちらのローファーは、
デザインはスタンダードなペニーローファーで、
足の甲部分も浅すぎず、
しっかりとホールドしてくれて履きやすさもあります。
でもローファー特有のコバの張りがなく、
とてもすっきりとしたライン。
ローファーだけど優雅なラインというか、
そこはマノロならではの哲学が宿っている気がします。
出しゃばりすぎず、
いつでもどんな洋服にもフィットする、
気づいたらよく履いていた、というような
タイムレスな存在になりそうなローファーです。
- MANOLO BLAHNIK ¥154,000- (tax in)
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STAFF : KAWASAKI
私が 11、12 歳の頃、
オシャレを意識し始めた時に履き始めてから、
もう40 年以上愛用している
〈CONVERSE(コンバース) 〉の“ALL STAR”。
自分より歳上の兄弟や
近所のお兄さんからお下がりをもらったり、
洋楽を聴かせてもらったりと、
海外のファッションや音楽、映画などに触れて、
何が格好良いのかを
間接的に教えてもらっていたと思います。
そんな歳上の人達が憧れの対象でした。
しかも、憧れの人達が憧れている人物や
カルチャーの情報が自然と
身近に存在していましたから、
当然関心は深まるわけです。
中学生から10代の思春期に夢中になっていた
音楽とファッションは切っても切れない関係性で、
ファッションを見れば
どんな音楽を聴いているかわかる人達が、
周りには当たり前のようにたくさんいました。
街を歩けば、対立するカルチャーのグループ同士が
一触即発みたいな、
ヒリヒリする時代でもありました。
そんな中、私はアングラやサブカルと言われる
カテゴリーの音楽、アート、書籍、映画に夢中で、
特にカウンターカルチャーの
代表的なムーブメントである
パンク・ムーブメントに衝撃を受けました。
レコードジャケットやポスター、
雑誌に写っているラモーンズや、シド・ヴィシャスが、
ピタピタのライダースにブラックスリムで
“ALL STAR”を履いていたり、
当時夢中になって読んでいた漫画、
上條淳士先生の『トーイ』で
主人公が履いていたり、
はたまた愛読していた『オリーブ』で
スタイリストの岡尾さんが使用していたりと、
とにかくオシャレと感じていたメディアや
カルチャーに頻繁に登場していたのが“ALL STAR”です。
お金がなくても
アイディアと想像力は逞しい時代でしたから、
自分でペイントを施したり、
ハイカットの履き口を折り返して履いたりして、
自分らしさを表現していました。
私の世代なら必ず一足は家にあって、
1 年くらいで履き潰してはまた新調するのですが、
下ろしたてが恥ずかしくて、
わざわざ汚していたものです。
そんなティーンにはありがたい存在の”ALL STAR”は、
いつしか自分の生活に溶け込んだ存在になっていました。
なので、当たり前のように汚れたらバシャバシャと洗い、
ボロになったら新調するを
現在も繰り返しています。
“ALL STAR”も履き心地やソールの頑丈さが
格段に向上している仕様もありますが、
私は、近所の量販店でいつでも手に入る
普通の“ALL STAR”を購入しボロボロになるまで履いて
新調するこの履き方に愛着と
ある種の美学を感じています。
このコラムをきっかけに
改めて履いてきた足数を考えてみたのですが、
現在までに 130足以上
付き合ってきた事に気が付きました。
これからも宜しくお願いしますという気持ちです。
いつの時代でも必ず手に入る、定番中の定番。
あくまでアディクトではなく、
普通の“ALL STAR”を履き潰したら
新調し続けるのが、
私のスタイルです。
そう、もはやファッションではなく、
スタイルなのです。
そんなタイムレスなスタイルと
同じ流れを感じるアイテムが
いくつかあるのですが、
思い入れのあるデザイナーが
提案するスウェットシャツが、
“ALL STAR”の文脈に近いかなと感じています。
トレンドに流されず、
いつの時代でもらしさを貫き続けた
〈DRIES VANNOTEN(ドリス ヴァン ノッテン〉。
(以下ドリスとします)
彼のクリエーションは
シンプルとは遠い位置にあるものも多くありますが、
基本理念がトレンドの要素を
強く含んではいないので、
30 年前に購入したアイテムを
現在も愛用しています。
しかも、「良いですね、どこのですか?」と
ご質問をいただくことも度々あります。
そんな彼が造り続けているスウェットシャツ。
今では珍しくもないオーバーサイズの、
いわゆるトレーナーです。
ですが、このスウェットを着用してみると、
生地の厚みや着丈のバランス、
色の出し方が絶妙です。
皆さんも「あぁ、定番のスウェットかぁ」と
お思いになるかもしれませんが、
実は“定番”と言うと、
ドリスの本国スタッフに否定されます。
なぜなら、ドリスの商品でディテールと
商品名が同じアイテムを
何シーズンもリリースしているのを
ご存知の方も多いと思いますが、
実はその商品たちは、
毎回シーズンごとにパターン(型紙)を引き直すのです。
これには、私も驚きました。
なので、彼らは定番ではないと言い切ります。
実際に比べてみると、
着丈や身幅はもちろんのこと、
付属のリブなどを少しずつ変化させています。
まるで 100 年以上続く
老舗のようなことをしているのです。
デザイナーがドリス・ヴァン・ノッテンから
ジュリアン・クロスナーに変わっても、
受け継がれてゆくタイムレスなアイテム、
そして時代が変わっても広い世代に支持を得て、
末永く愛されるもの。
そういった意味では、
このスウェットもその一つだと感じています。
- DRIES VAN NOTEN ¥66,000 (tax in)
















