LAND OF TOMORROW

STAFF COLUMN 〈Outer Wear〉


  • ランド オブ トゥモローのスタッフが
    独自の視点で綴る連載企画〈STAFF COLUMN〉。
    今回は今シーズンの
    おすすめのアウターを、
    実際に愛用してきたアイテムとともに
    ご紹介します。




  • STAFF : ONISHI

  • 購入時期は 2011 年ごろだったか、
    〈BALENCIAGA (バレンシアガ)〉の
    Nicolas Ghesquiere (ニコラ・ジェスキエール)期のものでした。
    とはいえ、後期のもので、
    退任直前のものかもしれません。

    当時、私は SUPER A MARKET で
    スタッフをしており、そこで購入しました。
    SUPER A MARKET は 2011 年のオープン直後に
    取り扱いを始め、あの伝説的なシティバッグが
    しっかり並んでいたのを覚えています。
    ちなみに、シティバッグデザインの
    レザーグッズは今でも愛用しています。
    革の柔らかさが手に馴染み、
    ポケットなどの機能性も良く、
    もうボロボロになりながらも通勤の相棒として活躍しています。

  • (話が逸れましたが)当時はチェスターフィールドコート(以下、チェスターコート)が、
    さまざまなブランドから出て流行していました。
    厳密に言えば「チェスター風コート」ですね。
    どこも裏地なしのダブルフェイスで軽く、
    衿の返りが甘いものが多く、
    柔らかいイメージのものが目立ちました。
    男性的なチェスターコートを
    女性が可愛く着られるというニュアンスのものです。
    しかし、このコートにはいわゆる“男前なチェスターコート”の良さがありました。

    チェスターコートは基本的にシングルが一般的ですが、
    これはダブルで胸前にダーツが入り、
    キュッと締まった印象。
    まるで紳士服のオーダーコートのようでかっこいいのです。
    また、軍服を思わせる肩の張りと、
    衿の返しの辛さ(浅さ)にも惹かれます。
    素材はしっかりとしたウールで、
    色味はカーキベースにグリーン、黒、白が混じり、表面に表情があります。



  • ベースの形や素材選びは男性的なのに、
    ボタンに遊びがあります。
    穴なしで分厚くマット、同系色で統一されており、
    生地や形よりもまず目が行く、
    このコートの最大のポイントです。
    単純に可愛いと感じさせられます。
    着用時のシルエットも秀逸です。
    肩の張りに対してアームは小さく、袖は細長く、
    ウエストにはダーツを入れて絞り、裾に向かって緩やかに広がります。
    “強い女性像”を描く洗練されたクールさが、
    まさにニコラ期の〈BALENCIAGA〉らしいです。

    オーバーサイズアウターが主流になった今、
    私自身もしばらく寝かせていたのですが、
    改めてこのコートを思い返すと、
    今期この雰囲気で着てみたいと思わせてくれる、
    私の中の名品です。

    当時この〈BALENCIAGA〉のコートは、
    パーカーやデニム、ファーのベストなど、
    あえてカジュアルな装いに合わせることが多かったのですが、
    今はクルーネックのニットなど、スッキリとしたものに合わせるのが気分です。

    • DRIES VAN NOTEN ¥389,400 (tax in)

    • DRIES VAN NOTEN ¥389,400 (tax in)

    • DRIES VAN NOTEN ¥389,400 (tax in)

  • 今シーズンの
    〈DRIES VAN NOTEN (ドリス ヴァン ノッテン)〉には
    同じような存在感を感じています。
    先ほどのコートと同じようにシンプルな
    ハイゲージなニットなどに合わせていただくと、
    よりコートを纏うことの楽しさを実感できると思います。

    “綺麗なものを綺麗に着る”そんな贅沢さを
    このコートを通して味わっていただければと思います。





  • STAFF : KAWASAKI



  • 私の敬愛する Stefano Pilati(ステファノ・ピラーティ)。
    彼のキャリアは、帝王〈Giorgio Armani(ジョルジオ・アルマーニ)〉から始まり、〈PRADA(プラダ)〉、
    〈MIU MIU(ミュウミュウ)〉を経て、
    私が深く心酔した
    〈Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン)〉へと
    移ります。 そしてわずか 2 年で、
    同メゾンのトータルディレクターへと上り詰めました。

    当時、グループの営業拡大の失敗により
    大幅な損失を抱えていた状況の中で、彼は見事な V 字回復を実現します。
    しかし、創業者や重鎮からの評価には恵まれず、
    最終的にメゾンを去ることとなり、
    その後すぐに彼の新たな居場所が決まります。それが〈Ermenegildo Zegna(エルメネジルド ゼニア)〉 。
    世界的トップのラグジュアリーブランドであり、
    クラシコには欠かせない存在である〈Ermenegildo Zegna〉において、
    彼は自身の核にあるクラシックでモダンなデザインを存分に披露しました。
    私がそれまで抱いていたゼニアのイメージは、
    その瞬間に完全に覆されたのを今でも覚えています。

  • 最高級の素材だからこそ生まれるドレープ、
    歩いたときに見せるボトムスの上品な動き。
    カジュアルでありながらエレガント、
    クラシックでありながらコンテンポラリーモダンを感じさせるルックが
    次々と登場するランウェイは、
    私の物欲を強烈に刺激しました。
    当時、購入を検討していた〈Yves Saint Laurent〉のマントは約 65 万円でしたが、
    〈Ermenegildo Zegna〉のクチュールラインの価格帯は、
    そのイメージを軽々と超えるものでした。
    ブティックでもなかなか目にすることのない
    クチュールライン、しかもランウェイピースを
    手に入れる機会が偶然訪れ、
    迷わず購入しました。

    着用していると、必ずと言ってよいほど
    ポジティブな言葉をかけてもらえるのも嬉しい点です。
    発表から約 10 年が経った今でも、
    このブルゾンは強い魅力を放ち続けており、
    結果的に非常にコストパフォーマンスの高い一着だと感じています。

    この〈Ermenegildo Zegna〉のブルゾンは当時、
    テーパードの効いたトラウザーズや
    ヴィンテー ジのデニムに合わせていました。
    そして今も変わらず、このドレープや、
    見た目の綺麗さをその ままに、シンプルな合わせ方をしています。



  • 今シーズンの〈THE ROW(ザ ロウ)〉の
    ブルゾンを見たとき、洗練された上品さや
    生地の魅力を最大限に活かした端正なムードに、
    当時このブルゾンを初めて目にした際の
    感動がふっと蘇りました。
    思わず“同じだ…”と感じてしまうほど、
    その佇まいは他の名品にも通じるものがあり、
    その静かな存在感に心を掴まれたのです。
    今でこそ「クワイエットラグジュアリー」という
    言葉が語られていますが、
    Stefano Pilati のクリエーションには
    その片鱗がすでにありました。

    スタイリングはドラマチックでありながら、
    アイテム一つひとつはシンプルな美しいシルエットと
    卓越したソーイングによって成り立っている。
    ウィメンズで言えば
    Phoebe Philo(フィービー ファイロ)のような、
    控えめなのに強く印象に残るデザイナーだと
    個人的に思っています。
    悪目立ちせず、
    しかし確かに目を引くラグジュアリー感。
    この感覚は、現在のオルセン姉妹がつくる
    〈THE ROW〉の哲学ともどこか重なるものがあります。


    今回このコラムのお話をいただいたときに
    真っ先に浮かんだのが、
    まさに〈THE ROW〉の “DANTES JACKET”。
    削ぎ落とされたディテールがかえって
    素材の上質さを引き立て、
    着用するだけでスタイルが“成立”してしまう佇まいは、
    歳を重ねたあともまた違った自分を見せてくれるような、
    そんな期待すら抱かせてくれる一着です。

    • THE ROW ¥1,098,900 (tax in)

    • THE ROW ¥1,098,900 (tax in)

    • THE ROW ¥1,098,900 (tax in)

  • ブルゾンらしくジップアップして
    ボリュームを楽しむのも良いですが、
    あえてジップを開け、素材本来の落ち感を
    味わう着こなしもおすすめ。

    温かみのある素材でありながら
    どこか軽さもあり、
    シャツやスラックスを合わせた
    綺麗めなスタイリングにほどよい抜け感を生み出します。
    決して安くはありませんが、
    長く愛着を持って着られるアウターとして考えれば、
    その価値は十分 にあるはず。
    ぜひ、実際に“見て、触れて”、その魅力を感じてみてください。

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