食べること、飲むことが大好きな私が、旅の計画を立てるときにまず決めるのは、飲食店。観光地や宿はそのあとで。
昨年徳島を訪れることになった理由は、蔵本駅近くにある「wineshop TAI」だった。

オーナーの田井さんと知り合ったのは、彼が代々木上原にあったワインバーに勤めていた時。
田井さんのフィルターを通した独特なコメントと気取らない人柄にファンが多く、夜な夜なお店は賑わっていた。 決して押しつけがましくなく、その言葉で一杯のワインが何倍もおいしくなるのだ。

初めて訪れた徳島のお店には、代々木上原時代の大きなテーブルと、変わらない笑顔の田井さんご夫妻が迎えてくれた。
夕日が差し込む店内で久々に注いでもらった白ワイン。その佇まいに懐かしさとあたたかさを感じた。

徳島まで行くのは大変だけど、ネットでも田井さんのチョイスしたワイン達に会うことができる。
先日注文したワインには、いつものように一本ずつ手書きのコメントが添えられていた。まるで田井さんが目の前にいるような温度感で。

時々ヨーロッパの生産者の元へも足を運び、畑の空気や造り手の想いを自分の目で確かめて伝える。
その姿勢が、ワイン一本一本のコメントににじみ出ている。丁寧で、まっすぐで、ワインへの愛情が溢れているなぁと感じる。

田井さんがワインに添える言葉のように、私も洋服を通してそんな温かさを届けられたらと思う。