Side B - the essence of tomorrowland -
SPECIAL EXPLANATION
TOMORROWLAND NEW SUMMER SET-UP
エレガンスを軸に置くトゥモローランドにおいて、ドレス衣料の提案は欠かせないファクター。
今季はスタイルだけでなく、機能性やTPOといったマーケティングも見据えた新機軸のアイテムが誕生しました。
その背景を探ります。
- TOMORROWLAND 企画デザイナー
小林哲平
ドレスクロージング一筋のトゥモローランドのウェルドレッサー。豊富な知識と経験による時流を読んだものづくりで活躍中。ドレスマンとしてのスタイルをベースに。
―ファッション界ではここ数年の流れとして、エフォートレスで快適性に寄った潮流が強くなってきました。パンデミックの影響もあり、従来のTPOに沿ったルールの解釈が広がっていった感もあります。しかし、よりカジュアルにライトにという流れが強まった反面、装うということや歴史に基づいた着こなしの王道についてのニーズも高まってきています。ドレスクロージングの分野でも、愛好家の方々を中心にオーダー件数は増加傾向ですし、きちんとしたラペルの付いたスーツやセットアップを求める声というのが振り返してきている印象。トゥモローランドでは紳士の装いについてどうあるべきか、という命題に向き合い今の気分にアジャストすることが大事です。そこで、機能性を謳う化繊100%のセットアップや、砕けすぎたクールビズではなく、ウェルドレスマンとしてのスタイルを構成するという基本に立ち返りました。
リアルでモダンなスタイル
- ―ファッションというのは趣向性が前にあるべきという前提があり、そこには自己表現であったりオンとオフの切り替えであったり、単純に着ることで気分が上がるかどうかを気にしていきたいと考えています。ただし、あくまでもスタイリングが先にありつつも、それを結実させるために痩せ我慢を強いるというのは時代性とマッチしません。歴史に裏打ちされた天然素材の持つ素晴らしさをベースに、適材適所で機能性を加えるアプローチがスマートなのではないでしょうか。クラシック未満のビジネスウェアとして、物そのものが持つクオリティは適切な上質さを持ち、今日的なモダンさを伴った着こなしをご提案しています。
高温多湿な日本におけるエポックメイキングな素材
- ―欧州を発祥とするスーチングの歴史を鑑みると、日本の気候には不向きなことが多いのは事実。特に高温多湿な夏は顕著で、着用者だけでなく服そのものへのダメージも大きくなります。スタイルを犠牲にすることなく快適性を担保するためには、やはりベースとなる素材が最重要という結論になりました。 まず生地の特性から申しますと、軽量で風通しが良く接触涼感も備えた高強度なウールポリエステルを使用しています。紡績の段階からこだわることで世界でも数社しか作れない代物になっており、毛羽が外に出ないよう綿の状態で双糸にしていくので光沢と強度が増しているのが特徴です。復元性も高いためシワになりにくく、着脱の機会が多くても心配は御無用。暑い戸外と空調の効いた室内でフレキシブルにご利用いただけるでしょう。また、ウールがベースになっているので頻繁なクリーニングは不要です。着用後に風通しが良い日陰に掛けておくと風が飛ばしてくれるので、臭いが残りにくいというメリットがあります。ウール本来が持つ油分を無駄に落とすこともないため、この方法がおすすめです
過不足のないバランスが大事
- 素材の特性を活かすため、内蔵物はシンプルにしました。実際に羽織ると軽さや着心地の面で大きなメリットがありますが、作りが確かなために平面的な見え方にはならぬようになっています。ドレスクロージングとしての根幹となる部分を犠牲にせず、近代的な素材特性をジャストな配分で取り入れたハイブリッドな仕上がりとなりました。どちらかに偏ることなく、最適なバランスに収まったと自負しております。実はこういったコンセプトのアイテムは今回ご紹介したセットアップ以外にも展開しておりますので、ぜひ店頭やオンラインご確認ください。
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