Side B - INVERTERE -
Special Explanation
INVERTERE × TOMORROWLAND
世界的な名⾨ブランド〈INVERTERE〉の代名詞であるリバーシブルコートに、
TOMORROWLANDの美意識を投影した別注モデルが完成しました。
⾰新をもって誕⽣し、⻑く愛されてきた名作をリスペクトしながら、現代の感性にふさわしい表情を与えること。
それは単なる復刻ではなく、「今」を⽣きるための装いへと昇華させる試みです。
顧客ニーズに応えることで名作が⽣まれる。
- 1904年、Harold Parkin⽒とその兄弟を中⼼にイギリス・ニュートンアボットで創業した⽼舗コートブランドの〈INVERTERE〉。以前に〈Joshua Ellis〉によるパイルカットヘリンボーン⽣地を⽤いた別注のコートでもご紹介したように、伝統に根ざした確かな縫製技術と、現状維持に終始しない柔軟なマインドを持ち合わせた⽼舗です。( ※過去の記事はこちら。https://store.tomorrowland.co.jp/topics/detail/?article_id=855869)
〈INVERTERE〉とはラテン語で「ぐるりと向きを変える」という意味で、代表作であり、今回のベースモデルとして選んだリバーシブルコートの事を表すブランド名でもあります。このコートは⾮常に⾰新的な技術で、彼らはその⽣産の技術特許を幾つも保有しています。
1900年代当時は乗⽤⾞が⾮常に珍しく⾼価なものであり、それを個⼈で所有するような富裕層からのリクエストによってリバーシブルコートは開発されました。コンバーチブル(オープン)カーを駆る際に防寒⽤として⾬⾵から⾝を守 るだけでなく、降りた後もシームレスにスタイリッシュな着こなしができるように留意する必要性が名作を誕⽣させる要因となったのです。それまでに存在していなかったものを0から⽣み出すのは容易ではありません。⼤量⽣産では 考えられないニッチな要望が、創意⼯夫と試⾏錯誤の中でクオリティを⾼め、〈INVERTERE〉の名声は着実に広がっていくこととなりました。
イギリス国内から世界へとハイクオリティが認知される。
- リバーシブルコートはイギリス国内の独⽴系の紳⼠服店やテーラーを通じて販売されていましたが、1948 年にヨークシャーにある「The Northern Proofing Company」を所有していたWalter Phipps Sawtell に買収されました後、「Invertere Coat Company Limited」として事業は拡⼤し、⼤きな⼯場へ移転。第⼆次世界⼤戦が後わると〈INVERTERE〉は輸出のためにラインナップの幅を広げていきます。当時からダッフルコートやレインコート、カントリーコートなどが代表的な商品でした。
主な顧客は北⽶やカナダ各地の個⼈経営の紳⼠服専⾨店でしたが、次第に⼤⼿⾼級百貨店でも取り扱われることで⼤きな成功を収めました。特にアメリカやヨーロッパ各国でも販売されるようになったリバーシブルコートの評判は⾼く、 外貨獲得に貢献した功績によって⼥王陛下から盾を贈られ称えられるほどに成⻑したのです。
全ての商品は品質と耐久性を保つために伝統的なカッティング、縫製、仕上げ技術で作られており、⾼い品質及び英国的でクラッシックなスタイリングは更なる知名度を築き上げ、世界中のカスタマーに求められるようになっていきます。ベストクオリティを提供できるよう常に品質へ追求している姿勢は時代を超越し、今に続く⾼い⼈気を維持しているのです。
独⽴した2着のコートを1つに集約。
- ⼀切の妥協を排した真摯なスタンスによって世界中に多くの顧客を抱える〈INVERTERE〉。そんな彼らの代名詞的マスターピースであるリバーシブルコートに対し、TOMORROWLAND がリクエストしたのはクラシックなデザインをベースに、素材・仕様・⽣産背景に⾄るまで徹底的にこだわり抜いた特別な⼀着に仕上げること。表地には、1888年に創業されたオーストリアの名⾨である〈Loden Steiner〉社による⾼密度で厚みのあるウールメルトンを採⽤。しっかりとしたハリとコシだけでなく優れた保温性を兼ね備えており、上質な⾵合いと落ち着いた⾊味がクラシカルかつ洗練された印象を演出します。裏地にはギザコットンを使⽤した⾼密度ギャバジンを使⽤。経⽷と緯⽷に異なる染め⽷を 交織することで、奥⾏きのある⾊合いと美しい光沢、⾼級感を実現しています。肌触りも柔らかく、天然素材ならではの⼼地よさも魅⼒です前⾯の⼤きなパッチポケットは、デザイン上のアクセントであると同時に⾼い実⽤性も備えたポ イント。 すべての縫製はイギリス国内で⾏われており、細部に⾄るまで伝統と品質へのこだわりが感じられる逸品へと昇華しました。
リバーシブルとして両⾯が遜⾊なく機能するためには、裾の処理をはじめとする縫製に細⼼の注意が必要です。縮率が異なる異素材を縫い合わせる際にパッカリングを最⼩にするためには熟練の感覚がマスト。世界的な後継者不⾜の中 でこういった難易度の⾼い⼯程を完遂できる職⼈も激減しているのが実情であり、Made in England の本物としても⾮常に貴重な1枚になっているといえるでしょう。ボタンホールを先に開けてから⽬視で合わせながら縫い合わすような ⼿間をかけることで、このクオリティを維持できるのです。
凡百の1枚で2通り着られると喧伝しつつ、⽚⽅しか結局は使わないようなコートとは異なり、それぞれが単体としても突き詰めた質を持つコートを1枚に集約しているのが〈INVERTERE〉です。オリジネーターとしての矜持と凄み、1世紀以上に渡る歴史を所有する喜びは他には代えがたいものとなるでしょう。
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