NEW ESSENTIAL / Extrafine Wool Knit
大切に育てられ、自分と育っていくニット
- 「能ある鷹は爪を隠す」。実力のある持ち主ほど謙虚で、みだりに人にひけらかしたりしないことのたとえです。エディションのニットも、一見するだけでは分かりにくいですが、並々ならぬこだわりと高度な技術を駆使して作られた賜物です。へんてつのないニットに見えても、実は“型やぶり” のニットであること。その秘密を紹介したいと思います。
ニットの決め手である素材に選んだのはメリノウール。オーストラリアやニュージーランドなどで数多く飼育されている「メリノ種」という羊の毛のこと。なかでも、白さとハリ・コシに優れたニュージーランド産の希少な原料を選びました。また、羊に痛みや恐怖などの負荷をかけない「ノンミュールジング」という方法で採取された健やかな羊毛であることも安心です。
メリノウールは繊維が細いため、ソフトでなめらかな肌触りでチクチクしにくいのが持ち味。なかでも、これはメリノウールのランクでも最上位に位置する「スーパーエクストラファインメリノウール」。糸を構成する繊維の太さを「スーパー」で表し、数値が高いほど繊維が細くなりますが、これは「スーパー160’s」という細さ。高級なスーツ生地でも「スーパー120’s」や「スーパー140’s」なので、その上をいく細さです。羊毛から糸を作る紡績でもカシミヤ専用の紡績設備を使用し、じっくり時間をかけて紡ぐことで、柔らかくカシミヤに匹敵する質感を実現しました。素肌に着てもらっても、チクチクする感じはまったくありません。
この糸を使うときはふわっと甘めに仕上げるのが一般的ですが、あえて編み目をぎゅっとつめているのが一番の見どころ。2本取りの10ゲージで編み立てました。数字だけでは分かりにくいかもしれませんが、つまり1本取りでのふわっとした仕上げより、2本束ねて10ゲージに“つめこんで”いるのです。カシミヤに匹敵する上質なウールを、風合いを生かすならハイゲージにするところを、2本取りのぜいたく使い。そうすると、1枚あたりの重さも増えて、値段も高くなるんですが、その風合いは他に代えがたい。
なぜそうしたかというと、ニット発祥の地・スコットランド地方のニットが念頭にありました。太い糸で編まれたニットはぎゅっと目がつまっていて暖かく、風も通さない。スウェット感覚で着られて、長く着ても毛玉もできない。しかも、へたらず物持ちが良い。当時のニットは今見ても着ても、時代を超える普遍性があり、それをエディションのニットで再現しました。
まず、それがカーディガンで感じてもらえます。もっちりとしたタッチ。じんわり芯から暖かくなるようなぬくもり。懐かしくも新鮮な着心地をぜひ感じてみてください。クルーネックニットは中にTシャツを着ることを想定し1本取りの14ゲージに。1本取りとはいえ度目をつめたので、厚みは押さえられたものの、ウェイトの差は2本取りのときと大きく変わりません。
デザインは合わせる服を選ばずに着られることを意図してオーセンティックに、ベーシックな形を目指しました。アームと身幅はややすっきりさせています。そのぶん袖丈は長めにして、着ると袖がくしゅっとブラウジングしてエフォートレスシック。ジャストに着てもらっても、ワンサイズ上げてゆったり着てもらってもしっくりくるようなサイズ感にしています。色のバリエーションも、定番のネイビーとグレー、そしてあざやかなレッドの3色。冬の装いに馴染ませるか、映えさせるか、お好みでどうぞ。
気をつかわず、ガシガシ着られるニットだからこそ、(あくまでも自己責任ですが)ふつうに洗濯してもだれることなく風合いは変わりません。気兼ねなく、気持ちいい。冬の朝、いつしか自然に手にとってしまうニットになっているはずです。