My favorite MAGNIBERG - Shinpei Goto (M A S U) -
ファッションの可能性を広げる東京ブランドの筆頭株、M A S U。イベントを開けば若者が列をなし、感度の高いファッショニスタが新作をこぞって着るほど人気はうなぎ上り。後藤愼平さんによるデザインは刺激的でアバンギャルド。それでいて、丁寧語の“ます”がブランド名の由来になっているように、縫製のきめ細やかさや上質な素材使いなど真摯な服作りにも定評がある。そんな後藤さんがマグニバーグのマフラーにデザイナー目線で言葉を寄せた。
来シーズンのテストためにスタッズを打ったヴィンテージのジャケットにM A S Uのスウェットパンツ、白いパンプスにマグニバーグのマフラーを巻いた、シックとカジュアルが共存するアンビバレントな出で立ちで現れた。「朝出かける前、肌寒く感じたので、マグニバーグのマフラーをぐるっと巻いてきました。守られている感じがあるし、ベビーアルパカのタッチが優しくて落ち着きます。眠りを誘うし、これに包まれて寝たいと思うほど。カシミヤほどのふわふわした軽さはないですが、僕は重みがしっかり感じられるベビーアルパカのほうが好みですね。クラシックでマニッシュ。アルパカのニットは持っていますが、やっぱりいいなって改めて思いました」。
後藤さんが選んだマフラーは白と黒のモノトーン配色にピンクのラインがひと際目立つ。「ちょうど今ピンクが気になっていて、次のコレクションでも使おうかなと思っていたところでした。組み合わせている色が絶妙だなって思います。色使いが本当に魅力的です。見たことがあるようで、見たことがない。クラシックに根差しつつ、新しい空気を取り込む。そういうところは僕のものづくりと通底するところかもしれません。アクネ ストゥディオズやサンローラン出身のデザイナーが手がけ、デンマークのテキスタイルメーカー・クヴァドラ社の協力があり、ベビーアルパカの本場ペルーで作られているという背景がしっかり見えるところにも惹かれます」。
ベビーアルパカのタッチの心地良さを直に感じながら、マフラーの先につけられた白いタグに目を止めた。「タグが素敵ですね！アイテム名の書体もかわいいですが、“DANCE, SLEEP, ROMANCE”って、僕も好きな胸キュンワードが綴られている。モノとしていいのに加えて、こういうワードをさりげなく入れるセンスにグッときます。タグって普通は見せたくないものですが、これならあえて見せるのもありですね」。
ひと通り撮影した後にカフェで腰を落ち着け、マグニバーグのマフラーをひざに置いた。「カフェで仕事をしようかなってときにも、ひざにかけていると落ち着きますね。それでいてかわいいから気分も上がります。日常使いはもちろん、出張にも持っていきたいし、パリにも持っていこうと思っていますよ」。
- 飛ぶ鳥を落とす勢いで人気を獲得してきたM A S Uが、2024年の秋冬コレクションは初めて海外で行なうという。舞台はファッションの聖地、パリ。後藤さんの目は既にパリへ向いている。 「海外の人は誰もM A S Uを知らないと思うので、見に来てくれた方が何年後かに『最初のショーを見ておいてよかった』って思ってくれるようなショーにしたい。でも、パリコレクションだからといって気負いはありません。自分が大事にしてきたこと、大切にしているものを真っすぐシンプルに伝えたい。それで勝負したいと今は思っています」。
- 後藤 愼平 @masu_officialaccount
1991年 愛知県生まれ。
文化服装学院を卒業後、LAILAにへ入社。SEVEN BY SEVENの立ち上げメンバーとして企画と生産に携わる。
2018年秋冬にM A S Uのデザイナーに就任。2023年8月には「ファッション・プライズ・オブ・トウキョウ 2024」を受賞し、来年の1月と6月にパリ・メンズコレクションでショーを開催する。
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