IN FOCUS -Maison Margiela ICONS-
〈Maison Margiela(メゾン マルジェラ)〉1988年にベルギー出身のデザイナー、マルタン・マルジェラによってパリで設立されたファッションブランド。オートクチュールからウィメンズ・メンズのプレタポルテ、レザーグッズ、靴、アクセサリー、ファインジュエリー、フレグランスまで、オーセンティシティー(信頼性)、アノニミティー(匿名性)、リコンセプション(再構想)を通してそのクリエイティビティを発信しています。2015年春夏シーズンより、ジョン・ガリアーノがクリエイティブ・ディレクターに就任。オートクチュールにあたる『アーティザナル』で提起したアイデアが、ウィメンズとメンズのプレタポルテをはじめとするすべてのラインに濾過されていくというピラミッド型のクリエイションプロセスによって、その世界観を創り上げています。
Tabi
その印象的なデザインから1989年のデビューコレクションで登場して以来、今なお多くの人を惹きつける独特の魅力を持つタビシューズ。デザインコンセプトが誕生したのは、1980年代日本を訪れたマルタン・マルジェラが街で見かけた作業労働用の地下足袋に「ヒールをつけたらどうだろう。」と考えたのがきっかけだ。二股に分かれたつま先は、親指を分けることでバランスが保ちやすくなり、ヒールの高さ7cmを超えるタビブーツも驚くほど快適に歩くことが出来る。そして、バレエシューズやスニーカー、ローファーなど様々なフォルムへと再構築された。個性的で非常に目を惹くディテールでありながら、不思議とどんな着こなしにもマッチしメゾンのイズムを付与するマジックは、時代を越えても色褪せることはない。
Glam Slam
独創的なキルティングディテールが特徴の「Glam Slam」シリーズが登場したのは2018年の春夏コレクション。クリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノが提起するハウスコード「アンコンシャス・グラマー(Unconscious Glamour)」の概念が反映されている。雲のような曲線を描くシェイプ、軽量でふんわりとした柔らかさ、デリケートで絹のように滑らかなラムスキンのナッパレザーが、普遍的な心地よさを喚起させる。ストラップチェーンとのコントラストが効いたクロスボディタイプは、コンパクトなサイズ感も相まって使い勝手がよくファースト・グラムスラムにぴったりだ。
5AC
2016年春夏「デフィレ」コレクションで登場したアイコンバッグ「5AC」。アイテム名はインターネット上のアルファベット表記法に着想を得て、フランス語でバッグを意味する「sac」を符号化して名付けられた。デザインにはアノニミティ・オブ・ザ・ライニング(Anonymity of the lining)を反映、ライニングという内側の要素を匿名化し、デザインや機能として第二の用途を見いだす手法を用いた。引き出したライニングがフラップポケットとなり、内側の白いステッチとラベルが現れる。台形や筒型など品のあるムードのディテールをベースに、個性的なライニングの遊びが唯一無二の名品。