「変化の時代に、DES PRÉSが考えたこと。VOL.1-2 Merchandiser」
We Think
「変化の時代に、
DES PRÉSが考えたこと。
VOL.1-2 Merchandiser」
2020.12.04 DES PRÉS / Merchandiser
思いがけず世界に訪れた、
大きくて揺るぎない変化。
さりげなく、それでいて強く。
自分らしく過ごすことが求められるこの時代に、
ファッションブランドができること。
DES PRÉSに関わるさまざまな人々が、
今期のものづくりに込めた想い、
少しずつ、紐解いていきます。
Q5. 作り手として大切にしていることは?
ものづくりをする上で最も大切なのは、関わる全員が「自分が着たいもの」をつくるということだと考えています。もちろんゴールはお客さまに喜んでいただけるような美しいプロダクトを作りたい。でも、お客さまの求めていらっしゃるものを理解しながらも、作り手それぞれが「自分らしさ」を自由に表現することこそが、私たちの最大のミッションだと思っています。もちろんブランドとして外せないルールは存在しますが、それはそれぞれが自分らしい発想を自由に表現した上で、後からチューニングしていけばいいことですから。だから一番最初のアプローチは、それぞれの感覚と個性をできる限り自由に表現するようにしています。お客さまを心から大切に想うからこそ、自分たちが着たくないと思うような服づくりは絶対にしたくないです。だから毎シーズン喧嘩しながら企画を進めています。誰も中庸を取ろうとしませんから。けれど、そうやってそれぞれが本気で考えて抜いてこそ、そのプロダクトを心から愛せるようになる。作り手の想いが詰まった、特別な一着になるんです。だからこそ、チームメンバーが、自分たちで作った服を着ている姿を見ると最高に嬉しいです。
ショップでの見せ方もまったく同じです。まずは「自分だったらどうしたい?」って考えて、自由に発想を広げて、編集してみる。それには自分が「本当に伝えたいこと」にフォーカスしていくプロセスが必要です。伝えたいことをより明確にするためには、我慢して、広げて、削ぎ落とし、集約させていくプロセスを経なければ、本質的なコアは決して削り出せない。だからパタンナーにしてもデザイナーにしても、DES PRÉSのブランドづくりに携わる人間は、全員が「自分が本当に伝えたいこと」という想いをしっかりと持っています。
Q6. コロナ禍によって、大きな変化はありましたか?
今の状況を決して悲観的には捉えていません。
もちろん世界的な経済状況が思わしくない中では、衣食住の中で「衣」のプライオリティが一番低くなるのは確かです。それでもファッションという文化が素晴らしいのは、買うことや着ることで、単純に人々の気持ちや心を明るくしてくれるということだと思います。逆に言えば、ブランドに関わる私たち全員が、DES PRÉSというブランドを通して、今の世の中にポジティブなイメージをアウトプットできるということへの喜びを本当に強く感じているんです。
「エフォートレス」はブランドにとってとても重要なキーワードのひとつですが、「肩肘張らない」という言葉の意味だけ切り取ると、ルームウェア的なゆるさをイメージしてしまうものですよね。けれど「イージー」と「エフォートレス」は決してイコールじゃない。だからDES PRÉSでは、逆に、あえて少し特別なシーンで着るような「凛とした」印象の服のバリエーションを増やすことにしました。時代の変化にフレキシブルに対応することも大切ですが、女性としての「凛とした佇まい」を表現し続ける私たちのスタイル提案は、ブランドとして絶対にぶらしてはならない大切な哲学だと考えています。
Q7. 今お客さまに一番伝えたいことは?
ファッションは本来自由なものだし、こんな時代だからこそ、自分たち自身が楽しんでこのブランドに関わるべきだと思っています。私たちはみなプロフェッショナルなのだから、今のムードに逃げ腰になることなく、もっと私たちが楽しんでることをまっすぐに伝えて、お客さまに少しでも勇気を与えられるような表現をし続けなきゃいけない。そのために一番大切なのが、自分たちが楽しくいるってことだと思うんです。だから私も、いつもオープンマインドでいるように努力しています。自分がオープンマインドでなければ相手もオープンにはなれないですからね。
それと、絶対に忘れてはいけないのが、服作りはひとりでは絶対にできないということです。社内のチームだけでなく、生地屋の方や工場の方々も含めて、ブランドフィロソフィーに共感し、それを真摯に体現してくれる仲間がいるからこそ、いつだってDES PRÉSらしい美しいプロダクトを完成させることができるんです。 創設以来このブランドに関わる人々がずっと大切にし続けてきたことをひとつだけ挙げるのならば「アナログなコミュニケーション」に尽きると思います。直接会って目の前で話して、誰がどういう想いでその仕事に関わっているのか心の底から伝えなきゃ、絶対に熱量は伝わらない。どんなことだって、最終的には「人」と「人」の関係性なんだと思います。そういう意味で、のブランドは、本当に「人」に恵まれています。ブランドに関わる誰もが本当に情熱的で、チームのみんなを心の底から信じ合っている。本当に感謝しかないです。
いつも私が新入社員の前で話すのは「ファッションはパッション」だということ。熱意がなければ何も伝わらない。自分自身が弱気になっている時に、お客さまの言葉から大きな勇気をいただくことも多いですしね。「ファッションってやっぱり、そういう熱いものだよな」って最近強く思っています。
- To be continued