TOMORROWLAND

Side B - Buyer’s insight vol.1 2025 FALL -


  • Decode 2025 FALL Season
    TOMORROWLAND MENS Buyer’s Insight


  • モダンでエレガンスを感じさせる世界観をベースに、
    TOMORROWLANDは時代のトレンド感や潮流をクラシックにツイストして表現。
    来る次シーズンに向け、バイヤー川辺にメンズのディレクション面も含めたスタンスや展望について話を聞きました。


  • 伝統と知性を念頭に、ディレクションの軸を作る



  • メンズファッションは、ウィメンズほど劇的なトレンドの変化が前面に出ることは多くありません。 とくに、ドレス要素を核とするTOMORROWLANDでは、伝統に根ざしたスタイルを重視してきました。 わかりやすく言えば、“知性”を感じられるかどうか。そしてそれを、今の空気感のなかでどう取り入れ、どう抑えるか。そのバランスがカギになります。 時代感をつかむには、自身のアンテナに引っかかった感覚をどう言語化し、形にするかが最も重要です。

    そのため、展示会での実物確認に加え、海外出張時に見た町並みや人々の佇まい、日常に溶け込む色彩や情景などをイメージソースとして活用。インプットの幅を広げることで点が線となり、ディレクションの軸が定まっていきます。
    このとき意識するのは自分の趣向に偏りすぎず、より俯瞰的な視点と同時に走らせること。個人的な感性と広義的な眼差しを併せ持つことで、より立体的な提案が可能になります。


  • インディペンデントな流れが本格化



  • 「PILGRIM」レーベルをはじめ、TOMORROWLANDのドレスカテゴリーには、ニューイングランド文化の影響を色濃く反映しています。
    近代アメリカ的な合理主義ではなく、イングランドの階級社会に由来する洋装のたたずまい。そのエッセンスに、フランスやイタリアの色彩美や装飾性が融合することで、洗練されたスタイルが生まれています。そこには確かなクラフツマンシップとして引き継がれた職人技も内包しているのが特徴です。



  • 一方、ストリートブランドは大手メゾンとの協業を経て、隆盛のフェーズは一段落。
    かつてのように大資本へのカウンターとして機能していたインディペンデントブランドは、いまやニッチとは言えない存在になりました。
    その流れの中で、テーラー出身のデザイナーや、独自の世界観を追求する“温故知新”型のブランドが台頭しています。 日本でも各地の個人商店のような専門店が支持を集めており、情報化社会の中でフィジカルな実感や顔の見える提案に価値を感じる動きが広がってきました。
    次世代のリアルクローズの担い手は、かつてのストリートブランドのような独立精神を宿しています。これは、トレンドやカルチャーが揺り戻しを起こしていることの証とも言えるでしょう。



  • バイイングではなく、パートナー探し


  • SNSの発達により、どこにいても容易に情報を得られる時代になりました。
    それでも、リアルな空気感やライブ感を伴った手触りは、やはり現地での体験がなければ掴めません。 最近では、マーケットニーズを満たすために買い付けに行くというよりも、価値観を共有できるパートナーを探す感覚に近づいてきています。
    膨大な選択肢のなかから何を選び、誰と話すのか。そこにはかつて以上に、編集力と審美眼が求められます。 ヨーロッパではセレクトショップという言葉が定着する以前、小売店をエディターズショップと呼んでいました。店主の世界観や思想が明確に反映されていたからです。いま再び、店づくりにも同様の編集哲学が求められているように感じます。
    こだわりが強ければ強いほど、ブランド側も規模拡大に慎重になります。短期的な利益よりも、長期的なリレーションシップを重視する傾向が強まり、TOMORROWLANDが長年続けてきた真摯なものづくりへの共感が、可能性の広がりを後押ししています。
    本質を見極める感覚に国境はなく、「良い」と感じる基準を共有できるかどうかが、繋がりを生み出す鍵になります。 ブランドやデザイナーもまたクレバーになっており、互いの共通言語を通じて、より高い精度で提案を磨いていける関係性。それが、これからのファッションの在り方なのかもしれません。



  • 後編では具体的なブランドを通して、川辺が表現するトゥモローランド2025秋シーズンの展望を紐解いていきます。

ニュース一覧に戻る