Side B - the essence of tomorrowland -
Special Interview
Barbour × TOMORROWLAND
永世定番として人気を博す〈Barbour〉にTOMORROWLANDならではのエッセンスを加えた別注が完成しました。
以前にご好評だった〈DORMEUIL〉社の『TRENCH』をファブリックに採用したモデルの完成に合わせ、
バブアー パートナーズ ジャパンの小峰さんに話を伺っていきます。
- 株式会社 バブアー パートナーズ ジャパン 企画部 部長
小峰 明彦
1964年生まれ。世界中から数多くのブランドをディレクションしてきたヒットメーカー。確かな審美眼と卓越したビジネススキルでシーンを牽引する存在。趣味はゴルフ。歴史ある機能美とファッション的アプローチの融合
- ―日本において広く認知され愛好家を多く抱える〈Barbour〉ですが、改めてその歴史と近年の市況についてお聞かせください。
小峰さん(以下、小峰。敬称略):様々なメディアでご紹介していただいているので、歴史についてはおさらいという形でお話させてもらいます。1894年にイングランドの北東部、サウスシールズにて創業。英国王室御用達の栄誉であるロイヤルワラントを授かるなど、品質も折り紙付きです。ワックスジャケットをはじめとするアイテムはアウトドアだけでなくライフスタイルアイテムとしても愛されています。日本では様々な別注モデルが展開されてきたこともあり、特にファッション的な支持をいただけている状況かと思います。
―英国ならではのリペアして長く愛用する文化を体現しているアイテムですよね。アメリカの質実剛健とはまた異なる、ラギッドな機能美を感じます。昨今のサスティナブル思考ともマッチしますし。
小峰:実は〈Barbour〉は英国市場での売上が全体の50%を超えるほどの認知があり、売上構成の男女比もほぼ半々なのです。代名詞的なワックスジャケットだけでなくシャツ類なども広く展開しており、トータルブランドとして浸透しているのは日本との違いですね。
―ワックスジャケットを入口に、ライフスタイルに寄り添うブランドとして英国では流通していると。今回の別注は以前にも展開した特別なファブリックを採用させていただきました。完成されたスタイルがあるからこそ、ワックスに固執せずとも〈Barbour〉らしさを感じられる仕上がりになったのではないでしょうか?
小峰:〈DORMEUIL〉社の最高級生地ですもんね(笑)。工場でも非常に気を使って縫い上げました。こういったアプローチはまさにトゥモローランドさんらしいと感服しています。実用品を極めたジャケットにファッション的なものを差し込むミスマッチの匙加減が絶妙。1つのプロダクトとして双方の良い面が発揮されているように感じます。
トゥモローランドらしいエレガンスを表現
- ―今回は「BEDALE」と「TRANSPORT」をチョイスしました。やはり人気のモデルは定番の「BEDALE」や「BEAUFORT」あたりなのでしょうか?
小峰:引き続き定番モデルは安定して人気なのですが、最近はショート丈のシェアが増えています。アレンジがしやすくカジュアルに着回せるところが好評のようです。ただ、クラシック回帰の流れもありロング丈の揺り返しもありそうな気がしています。
―〈Barbour〉らしい意匠を踏まえながらも、コーチジャケットの様な佇まいを持つ「TRANSPORT」は鮮度が高く、問い合わせも多くいただいています。広い身幅とミニマムなポケット配置も今の気分に合っている気がします。
小峰:「SPEY」以上「BEDALE」未満という絶妙な丈感ですから、そこが魅力の1つなのは間違いないでしょう。諸説ありますが、その名が示すように輸送業従事者向けに90年代以降の短期間に作られたモデルと言われています。2021年に復刻させてからは時流にフィットしたこともあり、シェアを拡大しています。
―そんな「TRANSPORT」に〈DORMEUIL〉社の生地を載せることで、新しい提案をしています。高品質なウール&コットンを限界まで高密度で織り上げたツイルは、独特のハリコシがありマニッシュかつエレガントな印象に。撥水性にも優れているので、多少の雨なら気にせず着用可能な点も〈Barbour〉らしいかなと。
小峰:カジュアルアップの提案として見事です。御社のLOOKでも拝見しましたが、ドレッシーでエレガントなスタイリングにもフィットしていて素敵でした。
- ―最後に今後の展望なども教えていただけますか?
小峰:本国の英国市場のように、ライフスタイルブランドとしてご支持をいただけたら嬉しいですね。日本でも多くの方に袖を通していただけておりますが、もっとデイリーに愛用してもらえるようにしていきたいと考えています。そしてトゥモローランドさんのような独自の着眼点と切り口でブランドのポテンシャルを発揮していくことも大事だと捉えています。
―長い歴史を持つレガシーの素晴らしさと、我々が大切にしているファッションの要素をかけ合わせることで新しい価値観を生み出せたら嬉しく思います。
小峰:ウィメンズにも可能性を感じていますし、これからもジェンダーレス・エイジレスに価値観を提供していけたら幸いです。
ITEM
- 1980年代に乗馬用ジャケットとして生み出されたモデルで、優雅なライディングポーズを崩さない着丈の長さやスナップボタン仕様のインバーテッドベントが特徴的な『Bedale』に素材を別注。
- 1990年代に運送作業用ジャケットとして誕生したショート丈が特徴の『Transport』に素材を別注。