DES PRÉS

corsage pour DES PRÉS 何気ない日常を彩る小さな花

  • Special Interview

    la fleurデザイナー・岡野奈尾美が考える「ものづくり」のこと、「DES PRÉS」のこと。

    2024.09.03 DES PRÉS STORIES #1

    2003年にスタートしたコサージュブランド、〈la fleur(ラ・フルール)〉。今回は、〈DES PRÉS〉とのコラボレーションアイテム発売を記念して、〈la fleur〉デザイナーの岡野奈尾美さんにスペシャルインタビュー。

    〈DES PRÉS〉初となる〈la fleur〉とのコラボレーション。今回は岡野さんのものづくりの製作過程やこだわりはもちろん、ブランドとしてずっと大切にしてきたことまで、彼女の飾らない言葉を通じてみなさまにお届けします。なにげない日常を小さな花で彩り、私たちの心を豊かにしてくれる〈la fleur〉の特別な魅力を、ぜひ感じてみてください。



  • ―私的な日々の中から生まれる、私だけの「花」

  • 「ブランド名である〈la fleur(ラ・フルール)〉はフランス語で花を意味します。もっと特別な名前にすればよかったのかもしれませんが、どんな人にとっても“なじみのある存在”でありたいと考えていたので、誰もが知っている『花』という名前にしました」




  • 普段の洋服に添える花
    上質な装いに添える花
    どちらも一輪あるだけで
    コーディネートの雰囲気が変化します
    同じ花を選んでも
    身につける人が違えば全く異なる世界
    胸に添えた一輪から
    その人の個性や内面がにじみでるのが魅力です
    着けた人の色に馴染む
    けれどその人の美しさを引き出す力のある
    そんな花の世界に携わっています

    - la fleur Concept より-


  • 「コサージュをつくり始めたのは、ブランド名の由来と同じで、とてもシンプルな理由です。もともとコサージュをつくる会社に勤めていたこと、そして私がテーブルの上で作業するのが得意だったこと。90年代後半の女性のファッションは、服を彩るというより、シャープでミニマルなデザインが主流だったので、あえてどのブランドもやっていない、コサージュのような小物で服を「飾る」ブランドがあっても面白いんじゃないかと考えました。存在していないならつくってみよう、という逆説的な考えです。それからずっと、シーズンごとにテーマを変えながらコサージュだけをつくり続けてきました」

  • 〈la fleur〉のアーカイブ作品

  • 「〈la fleur〉のコサージュは、その時その時の私自身の感情をそのまま綴った『散文』のイメージを、立体物へと昇華しています。だから作品は私そのもの。ごく私的な日々の中から生まれてくる言葉から、自分だけの『花』をつくっています。だから、ニューヨークに行った時にはパンクな表現になるし、子供ができたら母親の目線から表現することになる。女性写真家の作品に心を奪われた時には、彼女のセルフポートレートのように、女の子の内面とカメラのレンズを掛け合わせて花を表現したこともあります。自分自身の心のありように合わせて、作品もどんどん変化していきます。いつも大切にしているのは、感じたイメージを一度自分自身の解釈で、言葉に変換すること。インスピレーションを受けたイメージを、自分なりの言葉で表現できた時に、作品になるのかもしれません」

  • 写真家リナ・シェイニウスの作品からインスパイアされた2018 spring-summer collection『diary』
  • 透明のビニールは彼女の写真表現としてのフィルターを表現。女性の繊細さ、大胆さ、強さやしなやかさが詰まったコレクション


  • ―なによりも自分の胸が高鳴る作品を

  • 「作品の製作は倉庫の2階、自然光が入るアトリエで行っています。1mm単位の作業が必要な繊細な仕事なので、手元を照らす明るい光がとても重要です。それに、自分自身の気持ちがそのまま表現される私の作品には、ポジティブな気分にしてくれる自然光の存在が欠かせません。ちなみに私はデザイン画や設計図は描きません。自分が書いた散文から頭の中でイメージを広げて、実際に素材を手で触ってインスピレーションを頼りにつくりあげていく。それは、クライアントワークにおいても同じです。そのブランドのアーカイブやデザイナーの言葉を集めて自分で解釈し、言葉にして、素材に触れながらデザインが生まれます。自分の胸が高鳴る作品を生み出すために、自分の言葉とイマジネーションだけを頼りに、すべて自分の手で産み出します



  • ―「似合う」より、「馴染む」ものづくり

  • 「製作過程ですが、まず糊がけした生地をハサミを使い花弁の形にカットします。次に粉の染料をお湯で溶き、配合して色をつくって染めていきます。色はブランドの性格を最も端的に表すものなので、〈DES PRÉS〉は私にとってモノトーンのイメージでした。今回のコサージュでは染めの工程はありませんでしたが、この工程で自分が解釈したブランドの色、想像していた色に仕上げていきます。その後、糊がけされたパリパリの素材を、専用のコテを使って平面から球体にしていきます。この作業が最も技術力が必要な工程なので作業はすべて私が行います。そもそも完成形をイメージできていないとその形に仕上げられません。さまざまな技法を組み合わせながら、パーツとなる素材をひとつひとつ、つくっていく感じです。さらに最後の『組み』という工程。この作業が難しい。ただパーツを合体させるだけではありません。コサージュの重心がずれると着けた時にバランスをくずしてしまいます。〈la fleur〉のコサージュは女性の体に着けた時に最も美しく見えることを考えてつくっています。そしてさらに、お客さまが体に着けて違和感がなく、その人らしく馴染んで見える。私のつくるコサージュが、最終的にその人自身の美しさを表現してくれる存在でありたいと考えています」

  • 岡野さんが実際に使用している花用のコテ
  • 糊がけされた素材が平面から球体に
  • 身につけた時に綺麗に花として見える〈la fleur〉のコサージュ


  • ものは永遠と生み出され
    創った人の価値観に近い人の手に渡り
    自分の道を探して残っていく

    その使い続けられたものは
    つかいたおされ、くたびれながら
    くすみ、ほころび、形は変わり
    壊れ、その命も閉じる
    その時はすぐにくるかもしれない
    けれど叶うなら永く人の手に渡り
    時とともに変わり続けて愛でられたい

    もしも
    永くたくさんの人の手に渡ったのなら
    それは私にとっての偶然の幸運に違いない

    - 岡野奈尾美 散文「serendipity」-


  • 〈la fleur〉のコサージュはひとつひとつ丁寧に手作業でつくられるため、工程もたくさん


  • ―DES PRÉSであること

  • 「自分のブランドでアイテムを製作する時大切にしていることは『la fleurであること』であり、それはつまり私であることなのですが、今回〈DES PRÉS〉とのコラボレーションで大切にしたことは『DES PRÉSであること』です。お客さまがこの商品を見て〈DES PRÉS〉らしいと思えることが一番大事だと思います。『DES PRÉSであること』を自分自身がきちんと解釈するために、過去のアーカイブやブランドのことだけではなく、〈DES PRÉS〉デザイナー田中さんに、何気ない日常のことや、今何に興味があるかといったことを問いかけて、それを私なりに解釈していきました。田中さんの考える〈DES PRÉS〉を、私の言葉で表現できれば正解だと考えます。デザイナーが変わればブランドの表現も変わるものです。だからこそ、〈DES PRÉS〉の今のデザイナーである彼女がどうブランドを解釈しているか、それを私なりに理解することが重要なんです」

  • 〈DES PRÉS〉デザイナー田中さんが岡野さんに説明するためにつくったコサージュのイメージボード
  • コラボレーションアイテムはふたりの会話から製作された

  • 「〈DES PRÉS〉の服は基本シンプルで上質。実際に触ったり、着たりしてみると、すごく気持ちがいい。素材そのものが上質なんです。だから今回のコラボレーションでは、〈DES PRÉS〉のイメージでもあるモノトーンの世界に、ただの美しい花のコサージュでは不自然かなと思いました。だから、ある人から見れば花に見えるけれど、他の視点から見たらデザインがふわっと飛び出しているような、服であるような、そんな不思議なニュアンスに仕上げました」


  • DES PRÉS CORSAGEはこちらの作品を参考に
  • *コサージュブランド〈la fleur〉とのコラボレーションアイテムはDES PRÉS各店舗、およびトゥモローランドオンラインストアにて展開中です。
    CORSAGE_DES PRÉS ¥24,200

  • 〈la fleur〉デザイナー岡野さんが、〈DES PRÉS〉デザイナー田中さんの言葉をひとつひとつ大切に拾い、少しずつ拡張させたことで形になったコラボレーションアイテム。「私がデザイナーの思考を形にすれば、デザイナーが拡張し、結果としてブランドの成長につながる」。そう話す岡野さんが、〈DES PRÉS〉のたくさんの言葉を丁寧に紡いで製作してくれたコサージュには、今の“DES PRÉSらしさ”がたっぷり詰まっています。

    手にとって、身につけて伝わる〈la fleur〉のコサージュの魅力をぜひ店頭で体感してみてください。



  • 岡野 奈尾美 (〈la fleur〉デザイナー) 1986年 文化服装学院卒業後 フォーマルメーカーに入社
    1989年 造花メーカーに入社 アパレルメーカー デザイナーのコレクション CMなど様々な花の仕事に携わる
    1994年 退社後独立 花と服との美しい関係を模索
    2000年 この頃より東京の若手デザイナーとの仕事に携わる
    2003年 la fleurの展示会開催(以後年2回ペースで開催)
    2024年 現在に至る

    online shop:https://for-lafleur.katalok.ooo/ja
    instagram:@forflowersofromance_lafleur
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