2019年に行ったアートプロジェクト「写真を着る、言葉を纏う ～フォトグラファーと言葉によるTシャツコラボレーション～」で、作品を提供していただいた写真家の水谷吉法さん。

今回は名古屋ラシック店にて展示販売している作品「HDR_nature」の内容を中心にインタビューをさせていただきました。

デジタルカメラって本当に色々な機能があって、そのほとんどを使用していない方って多いと思うのですが、僕もその一人で、

実はこの作品はデジタルカメラにある「HDR=ハイダイナミックレンジ合成」という機能に触れて生まれました。

HDR機能というのは、シャッターを押すと露出の違う3枚の写真が自動的に撮られます。

簡単に言うと、”暗い”、”適正”、”明るい” 写真3つが撮られて、それをデジカメが自動合成して最適な1枚の写真を作ってくれる機能です。

本来は色の諧調が豊かに表現されて、よりリアルに近い写真が撮れる機能です。

出来るだけカメラを動かさないように推奨されていますが、僕はその機能を理解していなくて、カメラを動かしたことで失敗してしまったんです。

でも、その失敗がきっかけとなり、いつも撮っている自然をテーマに新しい作品が生まれるのではないかと思いこのシリーズを始めました。

今回の「HDR_nature」は2〜3年かけて撮りためました。

ある程度の被写体は決めますが、時にはファインダーをのぞかずに撮ったり、カメラを大きく上下左右に振ったりして撮影をしました。

例えば、紅葉した葉っぱの色が空に乗って金色の空になって見えたり、僕の知っていたカメラとは違うイメージが出来上がってくるんです。

最終的なイメージを自分で操れないのが面白くて、本来カメラは目の前の光景を写実的に記録するのに長けていると思うのですが、その概念を大きく変えてくれました。

撮れた写真は明るさを変えるくらいで殆どいじっていません。

イメージの探求や発見を繰り返して、今まで追いかけてきた自然が違った表現でできたと思います。

企業との取組はテーマが明確にあって、ファッションは1人ではなく他のクリエータ―の方々もいるので、やはり不安に感じたり、やり辛さみたいなものは感じますね。

また、自分が興味のない物を撮って欲しいといった議題もあるので、それは新しい発見がありますしチャレンジですね。

違う作品を撮るいい機会になります。

ときどきファッションのお仕事もさせてもらいますが、ファッションのチームで作るっていう熱量はすごいですね。

僕は毎日のように外に出て、写真を撮るのが日課です。

今はコロナで出にくくなってしまいましたが、やはり僕にとってはカメラが常にあり、外に出る時は必ずカメラを身に着けているので、動きやすい、ポケットが大きいなどの機能性が重要になってしまいます。

僕の生活とカメラは結びついていて、写真ありきの服になってしまいますね。

写真ってすごく閉塞感がある世界だと思っているのですが、こうした他業種の方々との取組は作品や自分を知ってもらうにはとてもいい機会だと思っていますし、普段は他業種の方々と全く接点がないので嬉しいです。

写真の展示やSNSしか僕自身の発信方法はなのですが、Tシャツをベースにした取組は僕に興味がない人に知ってもらえる可能性が広がる場所でした。

上記作品は名古屋ラシック店に展示販売中です。

ご購入に関するご質問は店舗までご連絡ください。